YAMAHA B−1. 14台目
 2SK180&THF51s改造器製作記録
平成28年10月25日到着
A. 2SK77、2SK180、THF51s 測定
  • 2SK77はアンプ用として製造されたが、後発の2SK180やTHF51sは高周波発振器用として製造。
    よって単純に置き換える事は出来ない 。
  • Vp電圧測定結果(B1の動作を考慮し、Vds=80V時)。
    • 2SK77=−15〜−18V...手持ち3台と修理器1台の合計12個の平均値。
    • 2SK180=−9V前後......手持ち10個の平均値。
    • THF51s=−6V〜−9V....手持ち42個の平均値。
       
  • Id電流測定結果(Vds=80V時)。
    使用したVgs電源が〜1.6Aなので、この範囲に来るようVgsを調整する。
    放熱器無で1.6Aは発熱が大きいので、素早く測定する。
    • 2SK77=0.5〜1.6A(Vgs=−12V時)。
    • 2SK180=0.5〜1.6A(Vgs=−6.7V時)
    • THF51s=0.05〜1.6A(Vgs=−6.7〜−5.6V時)

C. 純正ドライブV−FET・基板使用改造
  • 2SK77の置換えなので、使用出来るのは、上記の結果でVp=−9V以上、且つ、Id=1.6A以上。
    ドライブ基板の改造は、終段FET(Field Effect Transistor)のゲート電圧の低滅。
    2SK77=−18V&−108Vなのを、2SK180(THF51s)=−9V&−99に下記を維持して下げる。
    直結前段増幅素子2SK75のゲート電圧=−23.4V&−112V、は確保しないと歪や高域のドライブ不足。
  • 入力容量Cisが2SK77に比べて2500〜5000pFと大きいので、前段増幅で、高域を持ち上げてやる。
    高域パスコンは容量を下げ、NFカップリングは抵抗値を上げて調整する。
    但し、2SK77に比べ、増幅率が高いので、発振に注意する、特に2信号以上の複合入力試験は入念に行う。
  • B1仕様から、パワーバンド幅=5Hz〜50kHz(8Ω)、(IHF,歪み0.5%)。
    全高調波歪率=0.02%(1kHz),0.06%(20kHz)、(両ch,100W時,8Ω)なので、これを目標。


C2. 上記仕様で2SK180を使用した修理はこちら参照。


E. 調整・測定

D. 変形・改造ドライブ基板使用修理...入手難の前段V−FET(Field Effect Transistor)が死んでいる場合。
  • 終段FET(Field Effect Transistor)ゲート電圧を前段ドライブに関係無く、自由度の確保する。
    B1は高域がそれほど伸びていないので、ドライブはICを使用する。
    入力容量Cisが2SK77に比べて2500〜5000pFと大きいので、前段増幅で、高域を持ち上げてやる。


F. 調整・測定

S. YAMAHA B−1 の仕様(マニアルより)

U. YAMAHA UC−1 の仕様(マニアルより)

A. 2SK77、2SK180、THF51s測定。画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
A11. 2SK77をatlas DCA Proで自動測定中。
A12. 2SK77 4個の Id/Vds測定結果。 4個とも非常に良く揃っている。
A13. 2SK77 4個の Id/Vgs測定結果。
A21. 2SK180をatlas DCA Proで自動測定中。
A22. 2SK180 4個の Id/Vds測定結果。
A23. 2SK180 4個の Id/Vgs測定結果。
A31. THF51sをatlas DCA Proで自動測定中。
A32. THF51s 4個の Id/Vds測定結果。製造メーカーの4本パックなので、非常に良く揃っている。
A33. THF51s 4個の Id/Vgs測定結果。
A41. 2SK77、Vp電圧測定(Vds=80V時)。
              左=Vgs電源、右=Vds電源=80V固定。Vgs電圧を調節し、Ids=0の時を測定する。
A42. 2SK77、Id電流測定(Vds=80V、Vgs=−12V時)。
         左=Vgs電源=−12V固定、右=Vds電源、Vds電圧=80V固定、Idsを測定する。
A43. 2SK77測定結果。赤い数字=Vp電圧(Vds=80V時)、Kい数字=Id電流(Vds=80V、Vgs=−12V時)。
A51. 2SK180、Vp電圧測定(Vds=80V時)。
           左=Vgs電源、右=Vds電源=80V固定、Vgs電圧を調節し、Ids=0の時を測定する。
A52. 2SK180、Id電流測定(Vds=80V、Vgs=−6.7V時
         左=Vgs電源=−6.7V固定、右=Vds電源、Vds電圧=80V固定、Idsを測定する。
A53. 2SK180測定結果。赤い数字=Vp電圧(Vds=80V時)、
                     大きいKい数字=Id電流(Vds=15V、Vgs=−2V時)。
                     小さいKい数字=Id電流(Vds=80V、Vgs=−6.7V時)。
A54. 2SK180測定。赤い数字=Vp電圧(Vds=80V時)、Kい数字=Id電流(Vds=15V、Vgs=−2V時)。
               正規ルート品なので、良く揃っています。
A61. THF51s、Vp電圧測定(Vds=80V時)。
             左=Vgs電源、右=Vds電源=80V固定、Vgs電圧を調節し、Ids=0の時を測定する。
A62. THF51s、Id電流測定(Vds=80V、Vgs=−5.6V時
         左=Vgs電源=−5.6〜5.6VV固定、右=Vds電源、Vds電圧=80V固定、Idsを測定する。
A63. THF51s測定結果。赤い数字=Vp電圧(Vds=80V時)、
         大きいKい数字=Id電流(Vds=15V、Vgs=−2V時)。
         小さいKい数字=Id電流(Vds=80V、Vgs=−6.7〜5.6V時)、左端4個はVgs=−6.7Vで測定。
A64. 製造メーカー4個ペア組品 THF51s測定。
A65. THF51s測定。赤い数字=Vp電圧(Vds=80V)、Kい数字=Id(Vds=15V、Vgs=−2V)。
               製造メーカー4個ペア組品なので、良く揃っています。
A66. オークションで購入THF51s測定。赤い数字=Vp電圧(Vds=80V)、Kい数字=Id(Vds=15V、Vgs=−2V)。
               オークションで購入品、ペア取りに苦労する。
A67. オークションで3回目の購入THF51s測定。赤い数字=Vp電圧(Vds=80V)、
              Kい数字=Id(Vds=80V、Vgs=−6.7V)。
              YAMAHA B-1 2SK77の簡単な置き換へは絶望的!
C. THF51s使用修理状況。画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
C1. 終段FET(Field Effect Transistor)ブロック。
                     2SK180よりGmが高いので、ゲートに発振防止用ビーズを挿入。
                     使用THF51sはVp=9V以上、且つ、Id=1.6A以上の選別品。
C2. 終段FET(Field Effect Transistor)ブロック裏。 ドレインに4Aヒューズを挿入。ゲートにダイオードを挿入。
C3. 完成ドライブ基板
      写真不掲載
E. 測定・調整。画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
E0. 出力・歪み率測定・調整。片側のみ製作(片側電源のみ生)。
    「見方」。
   中側SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
         表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   右端 VP−7723Bの基本波除去出力を「owon SDS6062(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   左端 オーディオ発振器 VP−7201A より50Hz〜100kHzの信号を出し(歪み率=約0.003%)、ATT+分配器を通し、AMPに入力。
   よって、ダイアル設定出力レベルより低くなります。測定機器の仕様や整備の様子はこちら、「VP−7723B」「VP−7201A」。 FFT画面の見方はこちら。
   AMP左側は500W交流安定化電源。200W出力時で500VA入力。
E11. 50Hz入力、SP出力電圧40V=200W出力 0.068%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E12. 100Hz入力、SP出力電圧40V=200W出力 0.027%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E13. 500Hz入力、SP出力電圧40V=200W出力 0.030%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E14. 1kHz入力、SP出力電圧40V=200W出力 0.034%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E15. 5kHz入力、R側SP出力電圧40V=200W出力 0.071%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E16. 10kHz入力、SP出力電圧40V=200W出力 0.119%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E17. 20kHz入力、SP出力電圧40V=200W出力 0.119%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E18. 50kHz入力、SP出力電圧38V=180W出力 0.34%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=100kHz、右=500kHz。
E19. 20kHz入力、SP出力電圧22V=60.5W出力 0.0509%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
D. 修理状況。画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
D1. 終段FET(Field Effect Transistor)ブロック。 Gmが高いので、ゲートに発振防止用ビーズを挿入。
                     使用THF51s は製造メーカーペア組品。
D3. オークションで入手したドライブ基板。部品を取り去った所。
D4. オークションで入手したドライブ基板裏。部品を取り去った所。
D5. 完成ドライブ基板
      写真不掲載
F. 測定・調整。画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
F1. 出力・歪み率測定・調整。片側のみ製作。
    「見方」。
   中左側SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
         表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   右端 VP−7723Bの基本波除去出力を「owon SDS6062(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   左端 オーディオ発振器 VP−7201A より50Hz〜100kHzの信号を出し(歪み率=約0.003%)、ATT+分配器を通し、AMPに入力。
          よって、ダイアル設定出力レベルより低くなります。測定機器の仕様や整備の様子はこちら、「VP−7723B」「VP−7201A」。 FFT画面の見方はこちら。
   AMP左側は500W交流安定化電源。200W出力時で500VA入力。
F1. 50Hz入力、SP出力電圧40V=200W出力 0.068%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
V. SIT(V−FET) 2SK180,2SK77,THF−51s の規格(マニアル・カタログより) 
絶対最大定格(Ta=25℃) 2SK180 2SK77 THF-51s 2SK180ES
ゲート ソース間耐圧=VGSO 70V 45V 50V 70V
ドレイン耐圧=VGDO 600V 200V 600V 600V
ゲート電流 VGS=1V 0.5A 0.1A 0.5A
ドレイン電流=ID 20A 20A 30A 60A
ドレイン損失=PT ta=25℃ 300W 200W/300W*1 400W 500W
電気的特性(Ta=25℃) 2SK180 2SK77 THF-51s 2SK180ES
ゲート ソース間降伏電圧 IG=0.1mA 70V min 45V min 70V min 50V min
ゲート漏れ電流 VGS=-40V 100μA max 100μA max 100μA max
オフ時ドレイン漏れ電流 VGS=-50V 100μA max 100μA max 100μA max
ゲート  ソース間オフ電圧VDS=300V,ID=1mA 30V 30V 30V
ゲート  ドレイン間降伏電圧 ID=0.1mA 600V min 600V min 600V min
電圧増幅率=μ/VGS=-20V、VDS=0.1A 10 5*2、7.5*3 20 20
入力容量=Cis/V=10V,f=1MHz 2500pF 3000pF 5000pF 2500pF
ドレイン電流=IDSS/VDS=10V、VGS=0V 8A(Typ) 10.5A(Min) 20A(Typ) 18A(Typ)
ドレイン ソース間オン抵抗、VGS=0, ID=2A 1.5Ω max 0.2Ω max 0.3Ω max
ドレイン ソース間オフ抵抗 GS=-50V,VDS=300V 1MΩ max 1MΩ max 1MΩ max
遮断周波数、VGS=20V, ID=2A 10MHz min 50MHz min 10MHz min
ターンオン時間IGS=1.5A 200ns 250ns 50ns
ターンオフ時間VGS=50V 250ns 300ns 50ns
*1=B1説明書より。 *2=B1説明書より/VDS=40V、Id=2A、 *3=VDS=30V、Id=2A f=1kHz
S. YAMAHA B−1 の仕様(マニアルより) 
型式 ステレオ・パワーアンプ B-1
回路方式 シングルプッシュプルOCL、SEPP回路
パワー段用電源 L・R独立のトランス及びケミコン(15,000μF×2)×両ch
ダイナミックパワー 360W(8Ω)、(1kHz,歪0.1%)
実効出力 150W+150W(8Ω/4Ω共)、(両ch,20〜20,000Hz,歪み0.1%)
160W+160W(8Ω/4Ω共)、(両ch,1kHz,歪み0.1%)
パワーバンド幅 5Hz〜50kHz(8Ω)、(IHF,歪み0.5%)
ダンピングファクター 80(8Ω)、(両ch,100W時,8Ω)
全高調波歪率 0.02%(1kHz),0.06%(20kHz)、(両ch,100W時,8Ω)
0.02%(1kHz),0.03%(20kHz)、(両ch,1W時,8Ω)
混変調歪率 0.04%、(70Hz:7kHz=4:1,100W,8Ω)
周波数特性 5Hz〜100kHz(+0,−1dB)、(1W,8Ω)
入力インピーダンス 100kΩ
入力感度 775mV
レベル可変幅 18dB(775mV〜6V)
残留雑音 0.3mV
SN比 100dB
ランブルフィルターfc 10Hz,−12dB/oct
入力端子 NORMAL-DIRECT(SW切換)
出力端子 1-2-3-4-5(UC−1使用時)
(B-1単体の場合は1のみ)
付属回路 オーバーロード・インジケーター
パワーFET(Field Effect Transistor)保護回路(自動復帰・純電子式過電流保護回路)
スピーカー保護回路(電圧検出リレー駆動方式)
サーマルインジケーター(温度上昇検出保護回路)
ランブルフィルタースイッチ
主な使用半導体 FET(Field Effect Transistor)=39個
TR(トランジスター)=113個、 LED=3個、 ツェナーダイオード=7個、 ダイオード=64個
電源 AC100V、50Hz/60Hz
定格消費電力 440W(電気用品取締法による表示)
寸法 460W×150H×390Dmm
重量 37kg
別売品 専用アダプター UC-1
価格 335,000円(1974年当時)
U. YAMAHA UC−1 の仕様(マニアルより)
ピークメーター部 −50dB〜+5dBまで表示するピークVUメーターとメータードライブ回路
スピーカー切換部 5組のスピーカー切換SWと左右独立レベルコントロールボリューム
その他 パワーインジケーター,オーバーロードインジケーター,サーマルインジケーター
B-1との接続 直接B-1前面に実装,または,別売専用コネクターコードにて接続使用
仕上げ ブラックアルマイト,梨地仕上げ
寸法 460W×150(+5)H×83(+50)Dmm
重量 5.5kg
別売品 専用コネクターコード
価格 5万円(1974年当時)
                    50〜y-b1-e5z 90
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